2010年12月26日

D&D4eボス戦についての改良案/パート4

一連のボスルールの記事の総まとめが、このパート4です。
オリジナルのボスモンスターを作る場合はこれを参考にすれば良さそうです。

http://angrydm.com/2010/08/the-dd-boss-fight-part-4/

Part1〜3までで、基本アイデアとサンプルを示した。ここでは最終版のボス戦闘システムについて述べる。



【ボス戦闘システムの基本ルール】
ボスは特別なタイプの単独モンスターである。データ的には、他の単独モンスターと同じHP、防御力、攻撃力、ダメージ、セーブに対するボーナスなどは同じであり、一部のみが異なる。最も大きな違いは、ボスモンスターは複数のデータブロックからなっていて、戦闘中に変化することである。3つのステージはひとつの遭遇の一部として撃退されなければならず、遭遇全体がひとつの単独モンスターと同等の経験値に値する。

ボスモンスターの各ステージはちょうど単独モンスターの3分の1のHPを持っている。各ステージはそれぞれHPが0になったときに発動するトリガーアクションを有している。そのアクションはボスモンスターの最後の行動として、パーティから離脱し、戦いから取り除かれ、次のステージの新しいモンスターに置き換えられる。新しいステージは新たにイニシアチブを振って、通常通り行動を行う。このアクションをステージ変化と呼ぶ。ステージ変化はアクションを必要とせず(アクションではない)、「いかなる状況でも発動する」「もとのクリーチャーが削除され、完全に新しいクリーチャーで置き換えられる」というテキストを含んでいる。この部分は他の特殊ルールを導入することを防ぐための処置で、各ステージは完全に独立している。

ボスモンスターの第3ステージは常に重傷状態である。このことによって、パーティは重傷の敵に対する能力を使用できる。すべてのボスモンスターの第3ステージは常に重傷であるという性質を持たせる必要がある。

各ステージは1ずつアクションポイントを持っている。

上記の内容はボスモンスターの品質を保つための基本ルールとする。それ以外の部分は飾り付けとなる。


【飾り付け】
パート1と2で、いくつかのボス戦闘システムを改良する方法について検討した。
これらはアクション効率、パワー選択、状態異常に対する脆弱性を緩和することなどである。元来、これらの改良もボス戦闘システムの一部に組み込むつもりだったが、結局それはやめることにした。

「ボスモンスターの抵抗力」「ボスモンスターの追加アクション」といった能力をすべてのボスモンスターに装備させることは非常に安易な解決策だ。しかし、ブラッドナックルを作っている際に、そのような制限はやりすぎあることに気づいた。4版のモンスターのデザインは非常にバラエティに富んでおり、パワーの設計で無限の組み合わせが可能である。ブラッドナックルでは、動けない・幻惑・朦朧に対する抵抗や、伏せ、つかまれ状態のときに特殊な行動を行うことにした。一方、ヤング・レッド・ドラゴン(後述)では、伏せ・つかみ・減速・動けない状態に対する抵抗力は持たせなかった。戦闘中に空中にいるドラゴンを叩き落とすような戦術オプションが欲しかったからだ。ボスモンスターは基本的に異常状態への脆弱性を制限するべきと考えているが、すべてのボスモンスターが同じであるべきではない。精神支配を行って来るマインド・フレアへの対抗手段として逆に精神支配をしたり、巨大なオーガを殴り倒したり、空中のドラゴンを呪文で地面に叩き落とすなどの可能性は残しておきたいのだ。

同様のことはアクション効率にも言える。すべての単独モンスターに1ラウンド2回の標準アクションを与えれば丁度良いのではないかという意見もある。それでOKの場合もあるが、同様の効果を得る方法は他にもある。移動力のあるパワーは移動アクションの不足を補う効果があるし、機会攻撃の間合い、マイナーアクションによる攻撃、トリガーアクション、オーラ攻撃、ミニオンを召喚する能力、それ以外の様々なオリジナリティのある方法。大事なことなので2回言うが、私は多様性を重視していることを強調しておく。

このことはDMが独自のボスモンスターを作成しようとする際に重圧となる。少なくとも、幻惑、朦朧、支配状態に対する対策を考えなければならないし、大抵の場合、動けない、拘束、転倒への対処も必要だ。これらの状態異常を無視する場合は意図を選択する必要があり、DMはその対処しないことでモンスターがどうなるかを想定しておかなければならない。同様に、DMはボスモンスターが適正なダメージ出力をもつことを確認しておく必要がある。ボスモンスターは毎ラウンド4〜5回の標準的攻撃を行える必要があり、そのための多少の移動力も必要だ。

さらに言えば、DMは各ステージがどのような意味があるか、ボスが各ステージをどのように移行するかを決める必要がある。理想的に設計されたボスモンスターは、ステージ変化の際に次の新しい戦術のヒントを見せる。(もちろん、いつもそうしなければならないというわけではないが)。また、DMはステージ変化によって、モンスターがパーティに接敵する方法や、主に攻撃するPCを変更すると良い。私の意見では「モンスターはパーティ全体に愛を与えるべき」なのだ。

なにか変則的なこと(後述)をやろうとしない限り、各ステージは他のステージと統一性を保つべきである。変化する部分は、ステージ変化の際に次の状態がほのめかされるほうがよい。

結局のところ、ボスモンスターのデザインは通常のモンスターと大きな違いはない。ここで詳しく述べすぎると、これからモンスターを作ろうと思っている人の独創性を削ぐ結果になるので、いくつかの提案と参考例を上げるのみにしておく。
面白い部分のみを作って、それ以外の部分については手を抜きたいという方は、後述するレッド・ドラゴンから「ドラゴンの抵抗力」と「ドラゴンの敏捷性」をパクるとよい。

アクション効率・状態異常・ステージ変化。この3つについての調整ができていれば、各ステージは通常の単独モンスターに比べてそれほど複雑ではない。ステージ変化はリチャージ5・6の遭遇毎パワーと同程度の頻度で発生し、これ以外にリチャージのない追加の遭遇毎パワーがあれば、戦闘に多様性と雰囲気を追加するのに役立つだろう。しかし、各ステージが2〜3ラウンド程度で終わることに注意せよ。ボスモンスターは、単独モンスターと比べて多くの遭遇毎パワーを持たせる必要がないので、使用済みかどうかの管理が楽であるという利点がある。


【変則的なことをやる場合】
パート2で、ボスモンスターのステージのうちのひとつを技能チャレンジに置き換える可能性について述べた。これはD&D4eが提供するツールのお陰で非常にバランスのとれた方法で実現しやすい。この方法の例を提示していない理由は、技能チャレンジの場合は単なるモンスターのデータにすることが出来ないからだ。その時の状況と環境を考える必要がある。(氷の張った湖のホワイト・ドラゴンのようなケースである)

ボスモンスターの各ステージは、同じ経験値の精鋭、標準、ミニオンのモンスターで置き換えることもできる。この場合の経験値とは単独モンスターのちょうど1/3に当たる。例えば、玉座の間でガーディアンをけしかけ、自らは別の部屋へ去るボスなどを設計することもできるのだ。

技能チャレンジの場合も、同様に同じ程度の経験値となるようにする。つまり、複雑度2〜3の技能チャレンジで難易度はモンスターと同レベルのものを使用すれば良い。ただし、技能チャレンジはボスモンスターのダメージ出力の一部に代用されている点を忘れてはならない。つまり、技能チャレンジ中に技能チェックに失敗した場合には、通常の攻撃を受けたのと同程度のダメージを受ける必要がある。このダメージは回復力を減らすのではなく、直接HPに与える必要があり、その後に続く戦闘に影響を与える。また、技能チャレンジの成否は次の戦闘の始まりに影響を与えるべきだが、これは次のステージの敵自体には影響を与えてはならない(たとえばボスのHPを減らすなどは良くない)。もちろん、自信があるならば自由に決めてもらっても構わない。
良い技能チャレンジの例としてはダメージを避け、再度ボスと遭遇するためのものがある。例えば、ボスの悪人は一連の機械的な罠を発動させ、部屋を回転する刃と落ちてくるトゲだらけにしてから逃げ出すかもしれない。パーティは罠を回避しつつ彼を追いかける必要がある。PCは技能チェックに失敗するたびにダメージを受ける。もしパーティが技能チャレンジ全体に失敗してしまった場合には、悪人に不意打ちをうける事になる。

ボスモンスターのステージの一部を何かと交換する場合、その「何か」が戦い全体の1/3を占めていることは極めて重要である。第2ステージで、ボスモンスターが2体のガーディアンを召喚して一緒に攻撃してくる場合、その2体のガーディアンがボスの一部となっていない限り、本来あるべきより多くの経験値をパーティに負わせることになってしまう。同様に技能チャレンジを使用する場合、そのチャレンジがパーティにダメージを与えないものである場合、何らかの方法で「本来与えられるべきダメージ」を与えるようにするか、第4のステージを用意する必要がある。

つまり、一回の遭遇ですべてのことを詰め込むのが非常に重要である。技能チャレンジの後にパーティが遭遇を一旦終えて小休憩をとろうとしても、回復する前に次のステージの戦闘が始まるようにするのだ。


【最終確認】
あなたのホームゲームにおいて、自分の作ったモンスターの最終確認を行うことは非常に重要だ。あなたが攻撃ロール、ダメージ、防御値、HP、そしてそれ以外のゲーム指標についてのガイドラインを使用するならば、それらの全ては基本的には妥当であると考えて良いだろう。
しかしながら、以下の2つの最終確認はやはり重要である。

・ダメージ出力チェック:
モンスターをチェックして、同レベルの普通のパーティと戦うことを想像してみる。たとえば、ファイター、ローグ、レンジャー、クレリック、ウィザードの5人パーティの場合である。ボスの攻撃は各ラウンドに何回攻撃するか? 機会攻撃やトリガーアクションによるものも含めて検討する必要がある。 どのキャラクターが攻撃を受けるか? ダメージは1人のキャラクターがほとんどを引き受けることになるか、パーティ全体に分散されるか?

ブラッドナックルの例で考えてみよう。彼は、1ラウンドあたり2つの攻撃を行う能力があり、機会攻撃の間合い、ミスした攻撃に対するトリガーアクションを持っている。彼自身の移動力と強制移動のパワーを有効活用すれば、2回の通常攻撃と、1〜2回の機会攻撃を行うことができる。また、1〜2回のマイナーアクションによる攻撃を行うだろう。マイナーアクションの攻撃は主に近接型キャラクターに対して行われる。合計すると、1ラウンドあたり4〜5回の攻撃が行うと考えられる。第2ステージでは、移動して遠くの敵に突撃する攻撃を行うようになる。近接型キャラクターが接近を試みる間、至る所ですべてのPCを殴り飛ばすだろう。

・PCが何をできて何をできないかチェック:
ボスと戦う際に、パーティが何をするかを想定しておく。あるPCは敵に接敵する方法が全くないまま1ラウンドをボーっと過ごさざるを得なかったりしていないだろうか?そのようなことが起こるのは好ましくない。すべてのPCが何らかの方法で(少なくともステージのどこかでは)戦いに参加できるようにしておかなければならない。一部のステージで何人かのPCが効果的に戦えないことは許容範囲だが、彼等も残りの2つのステージでは活躍できるようにするべきである。


【筆者の世界のドラゴン】
筆者の設計したヤング・レッド・ドラゴンを提示する前に、設計した意図について説明する。ボス戦闘システムは、もともとドラゴンとの戦闘をよりドキドキするようにするために作られ、同時に多様性を持てるようにしている。しかし、その一方である程度の一貫性もあったほうがよい。そこで、一般的なテーマといくつかの前提を共有しておきたい。


(1) アクション効率と異常状態の問題を解決するため、すべてのドラゴンに「ドラゴンの抵抗力」と「ドラゴンの敏捷性」を持たせる。
安直ではあるが、ドラゴンの種族的特徴を表そうという意図である。他のボスモンスターも似たようなパワーを持っていても構わないが、筆者の世界では、ドラゴンはこの2つのパワーを持っている、という事である。

(2) 既に出版された世界とモンスターの本のフレーバーを活かす。
ドラコノミコンに書いてある「イオが自分に似せてドラゴンを生み出し、元素の混沌の力が彼等の血肉となっている」などの設定が好きなのだ。そこで、ドラゴンはステージを通じてエレメンタルの力を強調ようと考えた。
高レベルのドラゴンに関する興味深い問題のひとつは、攻撃が基本的にエレメンタルの攻撃に結び付けられている点である。そのため、10レベルのウィザードはやすやすと彼等の攻撃の全てを無力化することができる。だからといって、ドラゴンのエレメンタルの攻撃の本質を取り去りたいというわけではない。ヤング・レッド・ドラゴンは、戦闘の中で進化して徐々に[火]攻撃を行うようになる。
同時に、すべてのドラゴンは攻撃にエレメンタルの要素が含まれるようになるに従ってオーラを増し、攻撃がほとんどエレメンタル属性ダメージになった頃には、オーラが属性への抵抗をそぎ落とす。この結果、依然としてエレメンタルへの抵抗は有効ではあるが、ドラゴンの攻撃を完全に防ぎきることはない。


筆者の世界では、クロマティック・ドラゴンはドラゴンの中でも基本となる存在であり、メタリック・ドラゴンは、これを改良して作られた。イオはモラディンと協力して錬金術の技術を用いてメタリック・ドラゴンを生み出したため、メタリック・ドラゴンはエレメンタルの要素が少なく、その代わりにより魔法的な生物である。彼等はクロマティック・ドラゴンほどにはエレメンタルの攻撃に特化していない。カタストロフィック・ドラゴンはまた別の方向性であり、様々な形の制御不可能なエレメンタルの力を持っている。


最後の注意:
モンスターのエレメンタルへの抵抗や、脆弱性は問題となることは確かである。(3.5版でダメージへの抵抗や、クリティカルヒット・スニークアタックへの完全耐性)しかし、それを完全に無効化してしまうのも残念である。ボス・モンスターの構造を用いれば、中間点の可能性を探ることができる。
初期状態でクロマティック・ドラゴンは、あるエレメンタル属性への脆弱性をもち、抵抗は持たない。
エレメンタルの怒りが溢れ出るにしたがって、脆弱性を失い抵抗を増して行く(エレメンタルのオーラが脆弱性を圧倒するのだ)。
レッド・ドラゴンは、初期状態では[冷気]に対する脆弱性を有するが、最終的には[火]と[冷気]に対する抵抗を持つようになる。これは筆者の世界でのドラゴンの基本的な特性である。


pdf版 Young Red Dragon (Level 9 ボス単独モンスター)
http://angrydm.com/wp-content/uploads/2010/08/young_red_dragon1.pdf


posted by こてろう at 01:58| Comment(0) | ルール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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